①と②はこちらから。
グラウンダーのパスとパスライン
②の最後に紹介したこの場面。
チャビの「クリア」と書きましたが、
浮かさないように蹴っていて、実はほとんど「パス」ですね。
ここからメッシのラストパスまで基本的にすべてグラウンダーです。
次に5分のレアルのスローインからのプレー。
パスを浮かしてます。
パスライン上に敵がいます。
浮かすパスが悪いとは言いません。
この前紹介したアルゼンチンとアルバニアの試合でのシーン。
トライアングルで浮かしたパスで突破してます。
技術的な難易度が高くなりますが、極論、できるのならやってもいいんです。
(南米の場合、ピッチがでこぼこだったりすることもあるので、こっちのほうが効率がいいときもあるようです。)
ただ、理論上はグラウンダーのパスのほうがより正確に早く処理ができる。
(特にピッチが平らな場合は)
なので、バルサはこういう選択肢は基本的にとりません。
前半6分のバルサの攻撃
最初にチャビからメッシへのパスラインは切られてます。
先ほどのレアルのときのように浮かしてパスは出しません。
それでも最終的にメッシのところへボールが渡ります。
何をしてるかは、言わなくても動画を見ればわかりますね。
そして、パスはすべてグラウンダー。
たまたまグラウンダーだったわけではなく、そこには意志があります。
そこが先ほどのディアラのパスとの大きな違い。
レアルとバルサのサッカーの違いであり、「以前のサッカー」と「以降のサッカー」の違い。
なぜレアルの中盤が数的不利になるのか?
レアルの中盤は4人。それに対して、バルサの中盤は3人。
数の論理だと、レアルの方が1人多いはずです。フリーの選手は作らせないはず。
ピケからヤヤへパスのところ。
それぞれ中盤の選手だけをハイライト。
ヤヤからチャビへのパス。
”数的不利なはず”のバルサの選手がフリーになってます。
チャビからアウベスへのパス。
もう分かりますね。
バルサはFWラインからメッシが下りて、中盤に助っ人。
さらに両サイドバック2人が高い位置をとって中盤に助っ人。
それによって、レアルの4人の中盤に対し攻撃側が中盤+3人の6人がいる状態を作り出してます。
4対6。だから人が空く。
いくらディアラの身体能力と守備力が高くても、数的不利な状況によって無効化されます。
また、「以前」のサッカーのようにすごいダッシュをして数的優位をつくっているわけでもありません。
あまり動かないでも数的優位な状況をつくり出す。そこが「以降」。
パスラインを作り出す動き
細かい説明は省きますが、ただ数が多ければいいってもんじゃなく、パスラインをつくらないと意味がありません。とくにグラウンダーのボールで攻めたければ。
そこの動きをよく見てほしいですね。
最後のイニエスタの動きも、右サイドから中に入ってくるメッシに対して、エトーも含めトライアングルをつくるように”斜め”にパス&ランしてます。
ボールを持っているときだけでなく、ボールを持っていないときにも、ここっていうポイントをどれだけ素早く気づいて実行できるか。
その能力がイニエスタやチャビは高い。
次回に続く。