メッシ、異次元。解説その3
この動画の中のメッシの動作について解説。その3。
まずは動画を見てから。そして、順番に読んでくださいね。
ボールの回転
前回はボールタッチの回数から何がわかるかを分析。
今回はタッチの質の比較。
タッチの質を見るにはボールの動きを見ればいい。
ということで、次はボールの動き、ボールの回転を見比べてみてください。
とは言っても、さすがにバルサの選手たちはみんなボールタッチがうまいので、一番比較しやすい例を。
メッシ
他の選手の例だと、タッチのあとでボールがコロコロ前へ転がってしまいます。
ボールが自分の体よりも前に前に進んでいってしまうため、それをあわてて追っかける。
また、それを抑えようとして、ある意味強引に止めにいく。
最後のところで引っかかってしまうのも、その前のところでボールが前に行きすぎて、右にうまく曲がれなかったのが原因です。
ボールが転がり続ける。だからボールが体から離れてしまう。
長年サッカーをやっていた人でも、こういうドリブルをする人はけっこう多いです。
ボールを置く位置
ボールと体の関係で見てみると、他の選手の例ではボールと体が離れていることが多くて、ボールが先に行って、体がそれを追いかける感じ。
一方、メッシのドリブルはボールがいつも足元にあるような感じで、先にボールが行ってもボールが体を待っていてくれるような感じ。
そんなふうに見えませんか?
ちなみにジャンプ後の右へのターンをポールの位置を基準に並べて比べてみると、
こんな感じ。1歩ぶんくらい違う。
この1歩ぶんの違いが試合の中でどうなるか。
例えば、相手ゴール前で敵がいる中での1歩ぶんのスペース。味方が動く中での1歩ぶんの時間のタイミング... 。
ちっちゃいようで、大きな違いです。
それだけボールの置き所や、ボールタッチの正確性には意味がある。
メッシはそのことを当然誰よりも理解しています。
ボールコントロール
メッシのドリブルはボールがコロコロと転がらない。
まるでボールが止まっているかのよう。
コロコロと転がるのは意図的にスペースへスピードアップしたときだけです。
そこは意図的にタッチを変えています。
動いているボールと止まっているボール。
どちらが扱いやすいかといえば、止まっているボールの方が扱いやすい。
でも、ドリブルするときはボールは動いている。
だから、ボールが動いていながらも止まっているのが理想。
言葉にすると、矛盾してますね。
うまく説明しずらいのですが、そういうことです。
昔から、いい選手は必ずこれをしてる。
そして、いい選手はいつも足元にボールがある。
ボールの模様がよく見える!
あれだけ速く動いているのに、ボールが止まっている不思議。
そして、ボールはずっと左足の下にある。(シュートは右足だけど)
ある意味、ボールを動かすことは誰でもできる。
球体だから、触れば転がる。
逆に反発力のある球体だからこそ、手を使わずに止めるのは難しい。
ボールが勢いよく転がって壁に当たっても止まりません。跳ね返ります。
実はボールを動かすことよりも、ボールを止めることのほうが難しい。
なのに、ほとんどの人はボールを止める練習よりも動かす練習ばかりしている。
ボールを止めること(または扱いやすい、止まっているような状態にすること)がボールコントロールだと思っています。
ボールが自分の支配下になかったり、自分の意図とは違う動きをしていれば、それはボールをコントロール(制御・支配)できていないということだから。
ボールがコントロールできていれば、それはボールが動いていても構わない。
ボールのどこを触っているか?
最後にボールタッチの話に戻って、ボールのどこを触っているかを見比べて見てください。
ここの違いに気づくことが重要だと思います。
大事なところなのに、ほとんどの人は気にもしないでドリブルをしてる。
ボールを蹴るときはみんなそれなりに気にしてるのに(笑)。
ボールは丸い。
キックでもトラップでもドリブルでもボールが丸いのは同じ。
技術を知るんじゃなくて、ボールを知ることが大事。
メッシはボールを知っているんです。
また、ボールは相手がメッシだからといって忖度(そんたく)したりしません(笑)。
メッシだからできるんじゃない。
ボールは誰にでも平等です。
子供でも大人でも。男でも女でも。選手の経歴も関係なく、ボールは正直に動く。