マネしたいスペインの技術 その5
最終回の今回は、「引きつける」です。
前回それから前々回と、ドリブルで抜いたりスルーパスを狙わなくても相手の守備を撹乱させることができるターンやサイドチェンジについて述べました。
ただ、それだけで相手を崩すのはやっぱり難しい。
なかなか相手守備を突破できないので。
もちろん、スペインの選手たちもところどころでドリブル突破なども使って突破したりもします。
それ以外にどんなことをしているかというと、それが「相手を引きつける」です。
相手守備者を意図的にボールに引き付けて、または相手がボールを奪おうと食いついてきたときにパスを出して、相手の裏や空いているスペースを狙う。
分かりやすいのが、例えばワンツーやパラレラの形。
フットサルでもサッカーでも「引きつける」というのは、とても単純でかつ重要なコンセプトですね。
仕掛けるときは間合いを小さく
ベースとなる部分はその1からその4と同じです。
違うのは、パスのときの間合いとタイミング。
前回、間合いをしっかりとってターンをしましょうという話をしましたが、今回はギリギリの間合いでパスを出すことがポイントです。
ギリギリのタイミング、間合いでパスを出して裏へ走れば、それだけ相手守備者がマークにつくのに遅れます。
なので、守備者を振り切りたいときは、しっかり相手をボールに引きつけることがコツ。
そこが難しくもあるので、その1からその3までの基礎と比べると少し難易度が上がりますね。
スペインの選手たちが優れていたところ
プレッシャーがかかる中でボールを持てる。
とられないギリギリのタイミングでパスを出す、またはサポートをつくる。
ここがフットボールの難しいところでもあり、
また大きくゲーム内容や勝敗に関わってくるところでもあります。
女子の場合、スペインの選手と日本選手を比べてみても、個々の技術や戦術、フィジカルなどではそれほど差はなかったと思います。
そんな中で個人的に一番差を感じたのが、ここの部分。
スペインの選手たちはプレッシャーがかかっている中でも、ちょっとだけ日本よりも余裕を持ってプレーできている。
だからプレッシャーがかかる中でもプレーにミスが少ないし、ギリギリまで引きつけるのもうまい。
また、ボールを持っている選手だけでなく、持っていない選手の動きの質も高かったです。
日本フットサルの課題
女子・男子ともに日本のファールが増えてしまった原因にも、このプレッシャーの中での技術・戦術の高さが関係してると思います。
日本の選手からすると、
「もう取れそう」、「ミスしてくれそう」
ってところでも意外と普通にプレーされてしまう
そんな感じではないでしょうか?
普段からどれだけプレッシャーが高い中でプレーをしているか。
それが大きな試合のときにも無意識に出ます。
平日の練習や毎週末の試合で高いプレッシャーに慣れていれば、国際試合でも持っている力を出せる。
強化の一貫としても、そういう環境を早くつくることが課題かなと思いました。
それこそ育成年代から。
自分の本当の力が問われる
高いプレッシャーの中でのプレーは難しいものです。
例えばよくやる「鳥かご」も広いスペースでやればプレッシャーがかからず簡単になるし、狭いスペースでやれば技術面や判断の面で難しくなります。
プレッシャーが高い中でプレーこそ、本物の技術や戦術・判断が問われます。
と同時に、それはそれだけ自分の力を見直したり、磨けるチャンスでもある。
僕自身もプレッシャーがかかると、あわててしまったり、ミスが増えたりして
「まだまだだな〜」
と思うことばかり...
でも、その経験が
「もっと練習してうまくなりたい!」
「もっとフットサルを深く知りたい!」
って思わせてくれるんですよね。
5回続いたこのシリーズはこれで終わり。
みなさんのフットサルのお役にちょっとでも立てていればうれしいです。
ではまた✋